ようやく。
……ようやく。
全部の心配ごとから解放された気分だった。
ほっと、ハニーを見上げれば。
ハニーは、緑色の瞳を優しげに細めて、僕をさらに抱きしめた。
その、手つきが。
今までと違うような気がして、僕は慌てて抗議する。
だって!
今まで、ただ僕をどこにも行けないように。
離さないように抱きしめていただけのはずなのに。
明らかに、余計な所を触って、僕に眠る熱を煽ってる感じがする。
「おい……ちょっと……だめ……だって!」
「聞かない」
ハニーの微笑みが妖しくなった。
「僕は、今日。
ハニー。
あんたを受け入れるだけの余裕は無いんだって!」
「……判ってる」
「全然判って無い!
熱を煽るだけ煽って、そのまま。
何もしないで眠ったら、また、お互い、悪い夢を見ることになるだろう!?」
煽られるだけ、煽られておいて、放っておかれれば。
却って、快感を感じる前に苦しくなる。
僕の必死な言葉に。
ハニーは、まるで花のように、ひときわキレイに微笑んだ。
「君をそのまま放っておく気もない。
螢。
今日は、君が私を抱いてみないか?」
「……は?」
驚いた。
今まで一度も言われたことの無い言葉に。
目が丸くなっているだろうことが、自分でも判る。
「……僕が……ハニー相手に、タチ(攻め)を担当する……の?」
半ば、呆然と言う僕に。
ハニーは、微笑んだ。
「何だ?
私が相手では、萎えるか?」
「そんなことは無い!
……でも、本当に、良いのか?
慣れないと、かなり痛いぞ?」
……例え、受け入れ側が慣れていたって。
抱きかたによっては、カラダは凶器になりかねない。
そう、脅す僕に、ハニーは、片目を瞑った。



