クリスマス・ハネムーン【ML】

「本当に?
 じゃあ、僕が。
 女の子だったら良かったのに……とは?
 そう思ったことは絶対、無い?」

 僕は、君と出会って……はじめて。

 自分が女の子じゃないことが、悔しい、と思った……

 と、告白すれば。

 ハニーが、目を見開いた。

「螢が女の子!
 なんだ。
 君は、そんなものになりたかったのか?
 ベッドに居る時以外。
 いつも、女の子扱いすれば、怒るくせに」

「……」

 そんなハニーの言葉に、黙れば。

 ハニーは、軽く、自分の頬を掻いて言った。

「もし、螢が女の子だとしたら、とんでもなく性格のキツい娘(こ)だろうな。
 ……きっと、私以外の誰にもモテないぞ」

「そうじゃなく!」

「~~ん。
 では、外見か?
 顔は、このまま女の子と言い張っても可笑しく無いが。
 ……胸のついた螢は、見たいような、見たくないような……
 ああ。
 しかし。
 手術は、どんなに気をつけても『痛い』らしいからな。
 これ以上、螢が傷つくなら、私は、絶対、見たくない。
 螢君。
 君は、わざわざ女の子に変らずとも。
 今のままで、十分魅力的だ」

「そうでもない!!
 ふざけんな!!!」

 本気なのか。

 はぐらかしているのか。

 良く判らないハニーの言葉に僕は叫んだ。

「僕は『本当の女の子』になりたかったんだ!
 外見(そとみ)の問題じゃない!
 ……出来ることなら。
 ハニーと、自分の間に子どもが欲しかった」

「螢君」

「ハニーと一緒に、陽の光の下に……世間に出て行っても、可笑しく無い。
 絵に描いたような……
 父親と母親が居て。
 その間を子供が駆け回るような。
 そんな……家族が僕は欲しかったんだ。
 ハニーは、どうなんだ?
 何がなんでも、僕さえいれば、それで満足?
 ……本当に?」

「……螢」