クリスマス・ハネムーン【ML】

 君の機嫌を本当に損ねたら、多分。

 薬を奪われたり、胸を刺されるような特別扱いじゃなく。

 ゴミみたいにぽいと捨てられ、東京湾行きかもしれないと。

 肩をすくめるハニーに、僕はキレかけた。

「莫……迦……!」

 その。

 ハニーの様子に、僕は思わず高く、声をあげる。

「前々から、あんたのことは、莫迦だと思ってたけど!
 本当に莫迦じゃないか!
 そんなに怖いなら、なんで、僕のそばなんかに居るんだよ!
 無理に居る必要は無いじゃないか!
 あんたには、僕なんかじゃなく。
 女の子の方が似合うのに!」

 ハニーの言葉に、僕は、思わず。

 今までハニーに聞きたくても、聞けなかった言葉を叫んでいた。

「あんた、本当は。
 こんな手のかかる男なんかじゃなく……
 可愛い女の子がパートナーだったら良かったなんて思っているんじゃないか!?」

 心のままに、思わず叫び……後悔した。

 ハニーが「ああ、そう言えばそうだな」とかって言って。

 僕から離れてしまったらどうしよう?

 ……って、怖くなったんだ。

 けれども。

 ハニーは僕が、完全に落ち込む間もなく否定する。

「そんなことは無い。
 私は、他の女でも男でもなく螢。
 君が、好きだから」

 なんて。

 怖い、とか言いながらも、余裕たっぷりに微笑むハニーに、僕は何やら腹が立って来た。

 僕の方は、余裕なんて、一つも無く。

 追い詰められた気分なのに!

 これは、八つ当たりだと判ってて、僕は、言葉を続ける。