クリスマス・ハネムーン【ML】

「へぇええ~~!」

「ハニー!」

 もし、社会復帰したら、絶対、利用してやる!

 ……と。

 岩井の舌なめずりしそうな声に警戒して叫べば。

 ハニーは、たいしたことは無い、と肩をすくめた。

「毒ガスか。
 あんなモノの作り方、なんて。
 何も、私じゃなくても。
 化学的な知識を、ある程度持つ者ならば、誰にでも。
 比較的簡単に作れるんだ」

「え……?」

 そんな!

 誰にでもできるなんて!

 ますます、事態は悪化してるじゃないか!

 なんて、焦り出す僕に、ハニーは、片目を瞑った。

「私は『材料』と『道具』があれば、と言ったはずだ。
 ……毒ガスは簡単に合成出来るのに。
 原材料が簡単に手に入ると思うか?
 まぁ、個人的に、入手、ってのは、まず不可能だな」

「……」

「それに、私は『出来る』とは言ったが『協力する』とは、言ってない。
 ガスは、取り扱いが難しい。
 液体の時ならともかく。
 気化すれば見えないし、無臭だ。
 どうせ岩井君には、機械のデータは読め無いだろう?
 効果が出るまで、君に存在がわからない限り、私はやりたい放題だ。
 闇ルートで、必要品を、集め。
 私を拉致して作らせようとしても。
 私が、毒ガスをばらまく場所は。
 岩井君の鼻先と、君を飼っている組織のビル内部だけだぞ?」

 そんな。

 まるで、自分自身の方が、毒のある花のように、にっこり笑うハニーに。

 岩井は、とうとう。

『汚ったねぇ~~!』と叫び。

 ジョナサンに、首根っこを掴まれて、退場することになった。

 まるで。

 本当の野次馬を集めかねないほど、騒ぎ立て。

 悪態をつきながら。

 岩井がジョナサンと一緒に、完全に消えて行くのを見送って。

 ハニーが、さて、と僕を見た。

「これで悪者は退治したが。
 めでたし、めでたしで終わるには、もう少し頑張らないといけないな」