野次馬役の警官隊の中にいた、ジョナサンに手錠をかけられ。
「汚ったねぇ~~!」
と叫ぶ、岩井に、ハニーは、不敵に。
『まあな』と微笑んだ。
昨日。
午後遅く、ハニーは目が覚めたあと。
環境保護団体を名乗る、自分の誘拐を首謀していたヤツらは、捕まえたものの。
実行犯の岩井は逃走してしまった……と。
僕の状態込みで、佐藤から詳しく情報を聞き出し。
絶対、岩井を捕まえる気になったらしい。
ハニーは、なし崩しに、この事件担当になったジョナサンを自分の病室に呼びつけると。
岩井が、のこのこ現れたら、とっつかまえられるように調整をしていたようだった。
岩井が、自分よりも、かなり。
僕に執着していることを感じて。
多分、僕が一人の時に現れるだろうと踏んで。
私服の警官隊をこっそり準備してたのもハニーで。
ハニーは、そのことを、伝えに、消灯寸前の僕の病室に来たのに。
当の僕に追い払われ。
結局僕には、伝えられなかった。
だから。
何も知らなかったのは、岩井本人と、僕だけだったんだ。
しかも。
僕が、勝手に。
まだ夜の明け切らない早朝に、一人で、出て行ってしまったから。
当所の予定が、狂った、とハニーが言った。
「……さすがに、あんな早朝だったからな。
警官隊が来るまで、岩井を逃がさないように、時間を稼ぐ必要があった」
「ちぇ。
じゃあ、やっぱり。
毒ガスの話は、時間稼ぎのガセネタかよ!」
ジョナサンに、引っ立てられながらも。
未練がましく、僕らの会話に入って来た、岩井に。
ハニーは、にっこりと微笑んだ。
「私は、自分に出来ないことは、言わない主義だ」



