クリスマス・ハネムーン【ML】

「愛しているよ、ハニー。
 ……だけども、僕は汚れ過ぎて。
 キレイなハニーには、似合わないんだ。
 僕は、死んでも岩井のモノにはならない。
 だけども。
 ハニーと一緒に暮らすことも、出来ない」

「何を言ってるんだ!
 君は、汚れてなんかない!
 昔は、ともかく。
 今は、裏社会から足を洗ったんだろう!?」

 必死な顔をして、手を伸ばして来るハニーから、僕はもう一歩下がった。

 今、さっき逃れて来たはずの海が、僕の足元に絡みつく。

「その、過去が。
 僕を掴んで離さないんだ……
 今回起きた誘拐騒ぎも。
 元を正せば、僕が原因だし。
 ……ハニー。
 これ以上僕と付き合っていると。
 あんたの命がいくつあっても、たりないよ……」

「命なんて要らない!
 私は以前にも、そう言ったはずだ!!」

 全身を使って叫び。

 僕に向かって、少しでも近づいて来ようとするハニーを、岩井が、止めた。

「判んねぇ野郎だな!
 ケイはお前と、元々住む世界が違うって言ってんだ!
 一度たりとも道を踏み外したことのねぇ、お綺麗な博士さま!
 お前の出る幕は、無ぇ。
 さっさと尻尾を巻いて、一人で日本に帰れよ!」

 そう言って、ゲラゲラと笑う岩井をハニーは、キリリと睨んだ。

「……元々。
 螢と住む世界が違うのは、承知していたことだ。
 私の世界に、螢が来ることが出来ないなら。
 私の方が裏社会に入る!」



 なんだって!



「駄目だよ、ハニー!」

 例え、悪い冗談でも、この岩井の前でそんなことを言ったら!

 見ろ!

 岩井の顔が、興味深そうに、歪んでゆく。