クリスマス・ハネムーン【ML】

 強い酒を、いきなり大量に呑むのなら。

 多少見苦しい姿を見せたり。

 あるいは、アルコールを吐き出しても。

『強すぎたから、呑めなかった』とかですむかもしれないけど。

 ビールなんかで、むせているようじゃ、ごまかしが効かない。

 僕としては、強い酒をいきなり飲んで、短期決戦を計りたかったのに。

 その考えを読んだのか。

 岩井が、凶悪そうに、目を細めた。

「まあ、そんなこと言うなよ。
 日本の居酒屋で飲み会するときゃ、まず。
 生中(生ビール中ジョッキ)一杯から、がセオリーじゃね?
 お前の好きなウォッカは、後で死ぬほど呑ませてやるから、まず、コイツを全部飲んでみせろよ」

 そう言いながら、岩井が、独特の音を立てて。

 琥珀色の液体を、ジョッキになみなみとつぐのを僕は黙って見てた。

 冷えたビールをついだジョッキについた水滴が、僕の冷や汗みたいだと思いながら。

「もちろん。
 たかがビール、一杯。
 オレの酒が呑めねぇ、なんて情けないことは、言わないよな?
 ここは、男らしく、一気に行って貰おうか?」

 岩井は、愉しげに笑うと、ぎゅ、と眉を寄せた。

「だが、もし、一滴でもこぼしたり。
 ジョッキの酒を残してみろ。
 ……オレは、雪の王子は、死んだ、と思うからな?
 そしたら、今。
 オレの前に居るお前は。
 男を相手に、カラダを開く、ただのメス犬だ」

「……」

「……オレの好みは、女だし。
 普段は男相手に、ナニかする気も起きねえが、お前は特別キレイだからな。
 ま、試してみても良いさ。
 組を辞めてから、相当ケツを使ってるんだろ?
 遊んでやるよ、雪の王子。
 ……いや、メス犬か?」

 言って、岩井は、下卑た笑みを見せた。

「お前が、どんな声で鳴き。
 叫ぶのか、すげぇ期待しているぜ?
 もちろん。
 ボロ雑巾みてぇになるまで、愉しませてくれるよな?」