背後でざわめきが聞こえる。

 あたしの仲間とその兵士達の声だ。

 振り向き、手を振る。

 それに応えるように全員が歓喜の声を上げた。

 うん、いい感じ。総勢二千の兵が眼下に広がる。各地に残してきた守りの兵を合わせれば、あたしの指揮下には五千の兵がいる。

「全員聞け、奇夢露は滅び、邪神は再び封印された。我々の勝利だ!」

 ひときわ大きな歓声が上がる。

 よし、国を造るぞ、大きく強く豊かな国を。

「凱旋だ!」

「おおっ!」

 こうして、あたしの物語は、始まった。

 この先にあまたの試練が、待ち受けているだろう。

 しかし、あたしはそれらに全て打ち勝つつもりだ。

 なぜなら、それがあたしの宿命なのだから。

 そう、我こそは、勇者カウストロ・雷電・デイアメイアにして伝承者マフィス・麗・デイアメイヤ。『力と殺戮』を行使し、『富と豊穣』をもたらす者なり。

              END