120秒の恋

三上さんに会ったのは偶然なんかじゃない。

私たち、やっぱり運命の糸でつながってるよ。


駅の窓口で新幹線の切符を買った。

途中、中央本線に乗り換えS駅を目指す。

電車の中で、私は坂井さんとの出会いを思い出していた。

彼と話したことやデートで行った場所のこと。いろんな思いがこみ上げてきて胸が熱くなった。


S駅に着いたころ、遠くの山並みに真っ赤に燃え上がった夕日が沈もうとしていた。


わたしは階段を駆け下りてタクシー乗り場に向かった。

ロータリーではタクシーの運転手が二人、タバコをふかしながらスポーツ新聞を開いて談笑していた。

「あの、希望の丘ってどこにありますか?」

「希望の丘?」

先頭の車の運転手が首をかしげた。

すうと、もう一人の運転手が、

「ほら、峠の向こうにあるやつじゃないの?」と言った。

「知ってますか?」

私が詰め寄ると彼は驚きながら、

「ここからだと一時間くらいかかるよ」と答えた。

「お願いします」

私は頭を下げて頼んだ。