先生は蒼い瞳の狼くん






―――――――


『…………』


保健室には色んな思い出がある


悲しい思い出、楽しい思い出、怖い思い出、


そして、辛い…あの思い出


あの時からわたしは、保健室が好きじゃなくなかった


私を縛り付けるあの場所が…

















―――――……






「…………」


思わず保健室の入り口で止まってしまい



気持ちを落ち着かせるために数回、深呼吸をした


大丈夫、ここは違う保健室なんだ


大丈夫!そうここに来るまで何度も願ったから


だから、大丈夫


そう酸素を沢山身体に含みわたしは恐る恐る


保健室のドアを開けた…











ガラッ

ドアをゆっくり開け、その場所から少し保健室を見渡す


「失礼しまー…す」



少し広い保健室で私のいる位置からは人は見えない



しっかりと閉まってるベッドのカーテンに開いたままの窓から少し冷たい風が吹き抜ける


先生、いないのかな…


そっと保健室の中に入ると本当に誰の姿もなく机の上には散らばった書類があり


床にはその内の数枚が風に煽られて広がっていた



しょうがない、先生が来るまで待つか


そんな事を思い私は散らばった書類を拾い机の上に戻す


なんか、保健室って感じがしない

あの独特の匂いもしない、むしろ落ちつくような香りがしてなんだか不思議だ


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