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「え!サラってば、ちーちゃんにそんな事言ったの?!」
「……ぅん」
夜の8時00分
寮にある女子共同の大入浴場で二人して身体を洗いながらそんな会話をすると、瑠花の声が室内によく響いた
「うわ、確かにちーちゃんにそんな事言うのサラだけだわ」
「だ、だって、私本当に女の先生だと思い込んでたから、つい…」
実はあれから、寮に帰って来て事の説明を全て瑠花に話したのだ
「まぁ、確かに私も勘違いするような言い方したのは悪かったけどさ」
「…………」
「目が合ったのに嫌そうに反らしたらダメでしょー」
「だ…だって」
「だってじゃなくてさ」
瑠花はそう言うと全身にある泡を洗いながし、そのまま隠そうともせずに堂々と湯船に浸かる
「まぁ、ちーちゃんも何だかんだ言っても男の先生だしサラが男の人が苦手って時点で苦手対象になるのかもしれないけど…現に龍之介ともあまり話さないし目だってわざと合わないようにしてるでしょ?」
うっ、瑠花の的確な言葉に返す台詞がない
「まぁ、龍之介の事はどうでもいいんだけどね」
瑠花が頭を軽く振り、振り返り私をみる
そんな瑠花と目があい私も湯船に浸かった
「でも、龍之介くんには少し慣れたよ。話す時は必ず瑠花がいてくれるから話しやすいし」
一対一なら絶対に話せないけど…
「そう?なら良かった。ん?でも慣れたならなんで龍之介より話しやすいちーちゃんにそんな態度を?」
「え?」
言われてみれば、そうだ
ちょっと怖い感じの龍之介くんより、優しい落ち着いた雰囲気のある先生の方が話しやすいはずなのに、なんであの時…
龍之介くんよりダメなんて思ったんだらろうか


