永遠の翼

「別に私は構いませんよ」


音羽はあっさりと受け入れる。


「確かに、同じ家で暮らしているのに苗字で呼び合うってのも変な感じですよね」


「・・・・・・」


そういえば、俺がこの家に来たときもそうだった。


俺は拒否したのに、詩織のことを名前で呼べ、と言ってきたのだ。


今でこそ違和感を感じずに呼べるが、当時はかなり気恥ずかしかったのを覚えている。


「・・・・・・」


（しょうがないか・・・）


受け入れる。それ以外選択肢は無い。


「分かりましたよ・・・」


俺がそう言うと、秋夫さんは満足げにトーストを口に運び始めた。


『決まっているだろ、家族だからだ。家族はお互いを名前で呼び合う。違うか？』


さっきの秋夫さんの言葉を思い出す。


たとえ他人でも、一週間同じ屋根の下で暮らしただけで家族と言える。


家族だと認めることができる。


秋夫さんのそういうところは尊敬できることだと思った。