永遠の翼

数日後。


バイトの帰りに商店街を通っていると、見知った背中があった。


夜の街灯で照らされた、黒いダッフルコート。


「茜っ」


私はその背中に声をかける。


「あらあら。優子じゃありませんか。こんばんは」


茜が振り返って言う。


「また散歩?」


「はい」


私の問いに茜が頷く。


「好きだね、散歩」


「私は、この街を見るのが好きなんですよ」


茜が街を照らしている街灯を見上げる。


「確かに綺麗だよね、水瀬は」


私も同じように見上げる。


形の整った街灯に照らされる街。


この街は、綺麗だ。


素直にそう思う。


「そうだ、優子。教会に行きませんか?」


茜が突拍子も無い提案をする。


「教会?またどうして」


「この時間なら、面白いものが見れるかもしれません」


茜がフフ・・・といたずらっぽく微笑む。


「・・・・・・?」


よく分からないが、面白そうだ。


帰ってもどうせ暇なので、私は茜についていくことにした。