バタン、と扉が閉まる。


「・・・・・・」


俺はもう一度ピアノと向き合う。


『・・・音を奏でられるっていうのは、とても幸せなことなんですよ・・・』


音羽の言葉を思い返す。


大切なことを、再確認した気がする。


そうだな・・・


一度、原点に返ってみよう。


俺の音を探すために。


俺の音を見つけるために。


当たり前のことを、忘れちゃいけないんだ。


音楽を・・・好きなことができる。


それは、幸せなことなのだから。


俺は再び演奏を始めた。