有意義な時間の使い方

「……変わった使い方だったな」
「そうか?でも後悔していないよ。三分間だけどちゃんと伝えたいこと伝えられたし。ありがとう、死神」
「お前はここでずっととどまることになるが……」
「構わない。俺がどんなになったって……ありすが笑うならそれが一番良い」
「生まれ変わることが出来なくても?」
「いい。ありすが死ななきゃ何でもいい」

当たり前の将来だとか、当たり前の未来予想図だとかそんなのとっぱらって思ったのはありすが生きていて欲しいってことだけだった。

「……お前、馬鹿だな」
「?そうか?結構……人間って馬鹿ばっかだぜ?」
「ふふふっ。まぁ……馬鹿は嫌いじゃない」
「あ、ありすの顔でもっかい。嫌いじゃない、じゃなくて『好き』だとなお良い」

啓一の言葉に死神はあっけにとられたように笑った。

「特例中の特例── だな」
「え?」
「お前が願うなら── 」

そのあとの言葉は聞こえなかった。

+++

「あ……あんた」
「はい?」
「ありす、じゃない?」
「?」
「俺、あんたのこと夢で見たことがある。って電波じゃないぜ?」

夢の中の風景を辿って歩いた先で大人の女性が泣いているのを見た。
なんでかその人の名前が「ありす」というのは分かっていて、敬一はその人の笑顔が見たい、と不思議に強く思った。

「あなたは……誰?」

『ありす』の声は夢で聞いたとおりで、不思議とひどく胸が熱くなる声だった。

―― 終わり――