「そーです俺が皆の味方、勇者様ですよ。そんで命の恩人様でございますよと。さあ存分に感謝しろ」
「うるせえ」
「あら? そんなこと言っていいのかしら? ゆーくんが居なかったらミンチよミンチ」
「だーもうお前喋んな気色悪ィ!」
「あれ? あれあれあれあれ? もしかして喋んなかったら素敵ぃとか思ってんのかな? どーするマーリンちゃん」
「お断りよ」
「だってさァ。嗚呼、ケンくんの青春破れたり!」
「……もう頼むから黙れ」
「ゆ、勇者様…………?」
戸惑った老人の声。
「んー? んんー? ケンくんこのお爺さんはどなた様? 生き別れのおとん?」
「ちげーよ阿呆。長老だと」
一斉に注目を集めた長老は、すがるように3人を見た。
「勇者のご一行様……! どうか、助けてくだされ…………!」
勇者とマーリンは一瞬顔を見合わせ、再び長老を見、
「おーけーおーけー。ただちょっと待ってちょーだいな」
と肩をすくめた。

