痛かったのか、それとも突然の行動に驚いたのか。 あたしの行動に男の体がピクリと反応し、その揺れは指先にまで伝わってきた。 しかしそんな事はお構いなしに、あたしは自分のせいによって傷ついた手の平の傷を塞ぐように下を這わす。 「………まず」 口内いっぱいに広がる鉄の味。 予想以上のその味に、あたしは眉間にシワを寄せる。 頭上からは視線を感じる。 それでもあたしは止めることなく、傷口に下を這わせ続ける。 暫しお互い無言のまま、そんなくだらない行為が続いた。