立ち尽くす足が震えてしまう。 あたしは胸の前でギュッと手を握り締めた。 ドクドクと脈打つ心臓。 前進に鳥肌がたつ。 男はそんな見るからにビビッているあたしを見ては溜息をついた。 そして感情のない声色で言う。 『もう迷い込むなよ』 『………』 『ついて来い』 そう言って男はゆっくりと歩き出す。 けれどあたしは思うように身体が動かせなくなるほど、完全にビビッていた。