死なない。


死ねない。



あたしはそれを言葉にしない。


言葉に出来ない。



「…分かってる」



何が分かっているのが自分自身が分かっていないくせに、そう言葉にした。


そして両手で男の頬を挟んでは、今度は自分から口付けをする。




今聞いた言葉は訊かなかったことにしよう。


あんなのはただの男の独り言。



あたしは決して言葉にすることなく、口の中で呟いた。