出会いというには悪戯が過ぎるし、もはや出会いではなくただ単に見かけたという方がいい あの時に助けた女… ふと声をかけようと前に出した足を、停めた 一瞬目があったがこちらには気付かない (今更何を…) 犯した罪は裁かれた 求める物なんて何もないじゃないか… そう思い歩みを進め、女の横を通り過ぎた 前方を見ている俺の耳に ―うざかったから彼氏にボコってもらったんだ そんな言葉が聞こえたが、俺には関係ない日常の会話だ そんな会話を気にするより、音沙汰もなく待たせている彼女に会いたい