彼の失敗は言えなかったこと


ベッドに二人で横になる。裸のまま。
血はティッシュに吸い込ませ、染みを避けたのは、秘密だ。


「う~、まだズキズキするよ」

「ごめん。痛かったか」

「いいよ。航の痛みに比べたら……」


白いままのノート
書き込まれた表紙のページ

切れた訳ではないのだ
まだ書き込める


「ところでさ」

「なに?」

「なんで、あかりは学校にきたの? はっ、まさかテストの問題用紙を盗みに!?」


「違うわよ! 叶のノート取りに来たの。なかったけどね。探してたら遅くなって、しかも警備の人が来たから逃げ込んだわけ」


「北崎さんの? だったら夏海がもってたぞ。すげ~速さで帰ってった」


「な……、あの襟足~」


少しづつ
書き込んでいけば
いいのだ


「でも収穫はあったろ?」


書けなかった分の
二人を


「そうね……」


インクは
白い時もあるかも

なんて


「おぉう! あかり、歩けるか?」

「どうしたの?」

「4時! 5時には爺さん(校長)来ちまう!」


「うそ!? 急がなきゃ、ショーツ取って!」


「あいよ、てか。俺のズボン履くなよ!」


「女の子は身体を冷やすべきじゃないんでしょ?」


「わかったよ、じゃあ俺はスカート履くよ」


「うわ、変質者」

「履くからだろ~!」


一緒に書いてこうね