「あれっ?まさし??」

初夏の夕方、駅前で女友達と雑誌の街頭アンケートに答えている時だった。
聞き覚えのある声に振り向くと、知人のじゅんやがいた。

ひょろりと背の高い男も一緒だ。
遊びの帰りだろうか…

適当に挨拶を交わしていると、じゅんやの背中から、少女がちょこっと顔を覗かせた。

今時の女の子、というには少し個性的。
黒が良く似合う背の低い可愛らしい少女で、少し怯えた表情が魅力的で印象的だった。

声を掛けると、おずおずと話しだした。

彼女はまだ16歳で、高校2年生だそうだ。僕とは1つ違い。
もっとも僕は学校に行っていないけれど。

激しい音楽が好きで、黒を基調としたふりふりな可愛らしくてSexyな服装を好むそうだ。周りから見るととても派手で奇抜な子だろう。

とはいえ、僕も髪はロングの金髪で口ピ3つ、舌はスプタン(スプリットタン…蛇舌の事)初夏にも関わらずライダースを着ていて、とても一般的とは言えない。
そんな僕を見て、彼女が怯えるのも仕方のない事だった。

しかし、1時間も話すと、怯えた様子は無くなり普通に接してくれるようになり、僕は安堵を覚えた。

慣れてきた頃に、彼女は電車の時間になり帰ってしまった。

できる事なら、また会えるといいな。
そう思いながら彼女を見送った。