慌ててお気に入りの服に着替えて、黒川くんに「遅れるかも」ってメールを送る。



それからデートだから。

少し頑張ってみようと思って、いつも斜めに結んでいる髪は今日は下ろして。


メイクは薄く、ナチュラルメイクにする。




「本当はもっと頑張ってみたかったけど」



……うん。

我ながら短時間で頑張ったよね。



……あとどれくらいかな?


一通り終わってから時計を見ると、長い針は五十分を指している。




「あと十分か……」



ここから待ち合わせ場所までは、そう時間かからないから間に合うかも――。


そのことに、ほっと息を吐き出して部屋を出た。