「ふぅ……。暑いゎね。」
美奈が買い物をすませ一息ついた。 
この日の気温は32度。 
美奈は足早に帰路についた。 
美奈は夫の裕也と結婚23年目を迎えるこの日に、ご馳走を作って夫の帰宅を楽しみにしていた。 


午後8時。 
電話が鳴った。 


「もしもし?あなた?今日ゎ遅くなるの?」

「すまない。今日は10時まで残業をさせられるハメになった。」

「あら……そぉなの…。」

「本当にすまない。この埋め合わせは必ずするから。」

「……良いのよ。仕事なんですもの。仕方ないわよね。」


ピンポーン 


玄関のチャイムが鳴った。 
「あら、誰か来たみたい。あなた、仕事頑張ってね。無理しないで。」 

美奈は受話器を置いて玄関に向かった。

「はーい。どなたですか?」

ガチャ。 


「やぁ、ただいま。」

「あら!!あなた!残業だったんじゃ……?」

玄関の前に居たのは夫、裕也だった。 

「ははは、びっくりしただろう?たまにはこんな結婚記念日も良いかと思ってね。」 

「やだゎもう。びっくりしちゃった。」

「あ、これ…結婚記念日のプレゼント。」

「まぁ……ありがとうあなた。あとで開けるわね。早く一緒にご飯を食べましょう。」

二人は仲良く一緒に夕飯を食べ、プレゼントのを美奈は開けた。 
中身はダイヤの指輪だった。 
「まぁ……素敵な指輪………。高かったでしょう?」
「ははっ、細かい事を気にするなよ。プレゼントしたかったんだよ。お前に似合うと思って。」

「こんなおばさんに似合うかしら?あなた、はめてくださいな。」

照れ臭そうに裕也は指輪をゆっくり美奈にはめた。 
「結婚式みたいね。なんだか照れるわ。」

「本当だな。やっぱり似合うよ。お前の手は細くて長くて綺麗だから。」

「あなた、ありがとう。本当に幸せよ私。」

二人は顔を近付け軽く優しいキスをした。