カラン――――… 相手の手から鉄パイプが離れ、コンクリートを響かせた。 "喧嘩は素手でやるもの" 石榴はそういう掟を作ったが 相手は平気で使ってくる。 深紅は 鉄パイプを手に取った。 鉄パイプを見て、 思い出す。 「総長……」 深紅は 鉄パイプを眺めてそう呟いた。 今にも出てきそうな涙をこらえる。 ふと、倉庫全体を見回した。 相手は全滅。 仲間は4分の1。 自分たちの勝利だ――― しかし、 喜ぶことはできなかった。