「2階の201号室です」 家に帰ると、少し白髪の増えた母が玄関で僕を待っていた。 最初に口にした言葉は「おかえり」ではなく、雪の病院の名前だった。 コンコン。 「はい。」 久しぶりに聞く、雪の弱々しい透き通った声。 僕は体が震えるのを感じた。 ガチャ。