いつか授業で聞いた話によると、人は、本能的に闇を恐れる生き物なのだそうだ。


だから、この人型兵器「アーキス」のパイロットとなって宇宙を駆ける事を志す者には、まず手始めに宇宙空間の暗闇に耐えられるかどうかの適性試験が課されるのが一般的だった。





────ただ、僕は、


周りの仲間たちとは、少しばかり違っていて────。







操縦桿から両手を離し、入音量をサイレントに設定する。


それだけで、コンソールパネルは光を失い、あらゆる音が消え、コクピットは闇と静寂に包まれる。……それはまるで、この宇宙に優しく抱擁されているような感覚だった。





──そう、僕は、小さい頃から宇宙が持つ、この闇が恐くなかった。


……いや、むしろ、その逆だ。







そんな僕に、小学校の時の親友が何気なく言ったひとことがある。


「そんなに宇宙が好きだったら、アーキスのパイロットになればいいのに!」





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