そして、1世紀が過ぎた──。


両陣営は、互いに太陽系を内へ外へと開拓しながら、時に戦い、時に和し、地球外における人類の歴史を積み重ねていった。






この物語は、宇宙歴112年・帝国歴96年に起きた、ある事件から始まる。


双方に多数の死傷者を出した「第三次ジュピター戦役」以来、両国間には大きな争いも無く、20年が経過していた。


だがこの年、久しく続いていた平和が、再び脆くも崩れ去ろうとしていた。


この年1月、地球連邦政府は新たな開発対象域として、土星が有する「アステロイド・ベルト」をその候補と定め、先行調査団を派遣する。


しかし、それより先んじて対象の宙域にて調査を行っていたマルス帝国の哨戒機がその接近を妨害し、連邦政府の調査団に少なからず被害が出た。


地球連邦政府はこの件に対してマルス帝国に正式に抗議したが、帝国側は連邦に非があったとしてこれを完全に無視。外交関係は日に日に悪化の一途をたどっていた。





両国間の緊張は、今まさに高まりつつあった……。




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