「ちょっと……考え事してただけだから…大丈夫」
「本当にぃ?」
言いながらフシンがる動作をするワタル。
やばい……
私…この人苦手だ…。
今初めて実感した。
知り合って日が浅いからだけでなく、性格的に付き合いにくいタイプで実は苦手だったんだ。
「あ、そうだ。
ユウにやっぱり今日サークル行かないって伝えておいて」
「ん、了解。
てか俺も今日でないわ。
杏里このあとなんかある?」
まじ……
早く会話終わらせたい…。
内心そう思っていたけれど、これもまた社会勉強、そう思うことにしてワタルに返答した。
あ、まだ学生だけどね。
よくわからないけれど。
「特にないけど…
ワタルはどこか行くの?」
「あ…したらちょっと早いけどごはんでもどう?」
ま…
まじか…。
こんなパターンなんて今までになかっタヨ。
『どうしよう…
ワタルのことは少し苦手だけれど、今まであまり会話した記憶がないからな……
やっぱそこは少し、関わっておくべき?』
自分との葛藤の末、私はこう答えていた。
「ん…そだね。
いいお店教えて?」
そしてワタルに微笑んだ。

