「牧村、コクれよ!」

誰か、あたしを助けて…

あたしは体育館の中から、助けてくれそうな人を探す。



やっと見つけた…

あたしはすがるような目で、優しい萌を見た。

気づいてくれたのか、大きな目を細める萌。

萌は、ステージに向かって唇をゆっくり動かす。

が・ん・ば・れ…

そう口を動かして、ニッコリ微笑んだ。



「牧村、早く!」

あたしに、どうしろっちゅーの…

まさしく、四面楚歌。

「コクれ、コクれ!」

誰か、みんなを止めてくれ…

いつの間にか、『コクれ』コールおこってるし。

あたしは、思わず瀬戸内に視線を向けた。