「おい、聞いてるのか?」

おじさんの言葉に、瀬戸内はさらに体勢を低くする。

ちょ…これは、無理。

瀬戸内と完全に体が密着してる。

なんで、こんなことになってんの…?



「何か答えなさい!」

もう少しの間だけ…

なんとかたえろ、あたし。

でも、自分でもビックリするくらい心臓が早くなってる。

こんなにくっついてたら、瀬戸内にも気づかれそうだし。

気まずすぎるって…



落ち着け、あたし…

心の中で何度も自分に言い聞かせる。



だけど…

やっぱ、こんなの無理だ。



「瀬戸内…」

あたしは、ちゃんと声にならないくらいの音量でささやいた。