「そんなことないけど…」

「本当は得意じゃないでしょ。ああいうの…」

彩木くんは、意外と鋭い。

「まあね…」

苦笑いしてごまかすあたし。



「なんかわかるけどね…
断れる感じじゃなかったし」

「うん…」

人に心を読まれるのは、あまり好きじゃない…

あたしは地面に視線を落とした。



「あと、萌ちゃん取られてちょっと荒れてるでしょ」

「そんなことないよ…」

今のも微妙に当たってるような…

あたしの気持ちが、完全に見透かされそうだ。



「取られたのは、萌ちゃんじゃなくて…」

うつむくあたしを、のぞきこむ彩木くん。

「瀬戸内のほうか?」



「えっ…?」

この人、何言ってるの…?

その言葉に、あたしは顔を上げた。