「あたしは、好きだな」

「えっ…?」

一瞬、言葉につまるあたし。

萌のまっすぐな視線を真顔で受け止める。

リレーのスタートを知らせるピストルの音が、パーンと響いた。



「あたし…瀬戸内くんのこと、好きになっちゃった」

恥ずかしそうにうつむく萌。

あたしは、なんて言ったらいい…?



「そっか…」

それだけ答えて、萌から目をそらす。

萌にかける言葉を探して、視線を動かす。

あたしの視線は、グラウンドでスタート位置についたあいつの所で止まった。