「うん。彼女」 携帯から目を離し、藤谷は笑って、気に留める様子もなく答えた。 「やっぱり!あの曲ラブバラードだもんねー」 「えーてかショック。先生彼女いたんだぁ…」 賑やかになる教室。 ありのままを言ってくれて嬉しいような、バレたらどうしようという気持ちでハラハラするような。 落ち着かない気持ちで柏は事態を見守っていた。 「曲は彼女が前に好きって言ってたから、なんとなくなー」 そして、ごく自然に柏を見た。 ぼっ、と赤くなる柏。