「別に…なんもねえよ…」

「嘘つけ‼じゃあ、なんで詩織は泣いてたんだよ?」

感情を丸出しにして怒る健吾。

珍しい。
健吾はいつもクールで感情なんか、中々出さない。


「しぃが好きなんじゃないのか?」

「…っ」

言葉に詰まった。


「るせえ‼お前にっ…健吾に何が分かる‼」

詩織が好きなお前に何が分かるって言うんだ。


「朔斗…お前っ…」

健吾には分からない。
きっと、一生な。


「あっれ~?こんな早くにどうしたんだよ?」

タイミング悪く、結城先輩が来た。

「「結城先輩…」」

「あれ?どうした?2人とも眉間にシワ寄ってるけど?」

なんともKYな人だ。

「別に…なんもないっスよ」

そう言って、俺は更衣室に入った。



ごめんな。

健吾も詩織も、

幼稚な俺のせいで傷付けたよな。


分かってたけど、

止められなかった。



〜朔斗☆side