チョコレート大作戦!





「ふぅ……」


粉まみれの顔を手の甲で拭きながら、ヘトヘトになって椅子に座り込んだ。



「後はタルトが焼けるのを待つだけねっ♪」


そんなあたしを見て笑みを浮かべる鈴さんも隣の椅子に腰かけた。


オーブンに入っているタルトはまた焼き上がっていない。



あと30分、か。


きちんと焼けてればいいなぁ……



「ねぇ、穂香ちゃん。せっかくだからタルトが焼けるまでの間、少しお話しましょうよ」



心配気味のあたしを遮るかのように鈴さんが屈託のない笑顔をあたしに向ける。


それからあたし達のガールズトークタイムが開始した。



「楓とは最近どう?あの子、浮気とかしてない?」



「はい。でも、毎日のように告白されているんで結構心配ですけど……」


タオルで顔についた粉を拭き取りながら、呟くように答える。


「あははっ♪そうなの。でもアイツ、意外と使えるでしょ?」



「つ、使える……?」


あたしは不意に、顔を拭く手を止めた。