料理はあまり得意な方ではなかった。


だから美味しいって言ってもらえるかあまり自信がなかった。


だけど、嬉しい。


一言では表すことが出来ない、このもどかしさ。


楓のくれた言葉があたしの胸に染みていく。



「他の誰がくれたものよりもずっと特別で、すげぇ嬉しい」

特別……


どこにでもいるような、ただの凡人女を“特別”だと言ってくれるのは、


優しくて、温かい。この王子様だけだと思う。



「ありがとう…んっ…」



“どういたしまして”の代わりに王子様は唇を重ねた。




チョコレートのような。


甘い、苦い、甘い恋に


あたしは、今日も


満たされている。




*Fin*