あたしが笑うと嬉しいなんて。


「何、それ。どういう意味?」


あたしはなんだか気恥ずかしくて、俯き気味で呟いた。

するとまた彼は面白そうに笑う。


「智子さんの笑った顔が、すごい好きってこと」


ニッコニッコと頭に花でも咲かせそうな無邪気な笑顔でそう言われると。

あたしだって、いくらなんでも照れてしまう。

ほんとにもう、いちいち心臓に悪いんだから。


「でも怒ってる顔も、ちょっと呆れてる顔も、全部可愛いんだけどね」


ほらまた。
そうやって直球を投げてくるから、こっちが恥ずかしいんだってば。

あたしは真っ直ぐ彼を見れなくて、泡の残ったカップを見つめる。


「どんな顔も好き過ぎる。やべぇ、智子さん。俺選べない」


大問題だ!とばかりに深刻な彼に、あたしは思わず口元が緩む。