ああもう、どうしたらいいの。
離れたいのに、強く抱きしめられていて、抜け出せない。
甘い匂いに酔ってしまいそう。
うわあ、いけない、くらくらしてきたよ~。
「そろそろ堕ちろよ、野宮」
「はぃ? おちろってどこに……」
「俺のところに」
「拓海くんのどこに?」
「……わかってないのか。口説いてんだぞ」
「くどいてんだぞ?」
だめだ、頭がうまく回らない。
拓海くんがなに言ってるのかも、よく理解できなくなってる。
いいかげん、本当に離れないと色々まずいかも。
ここは土下座する勢いで、離れてほしいとお願いするしかない。
回らない頭でそう考えた時、
くいっと顎を上に向けられた。
……え。


