陸斗くんは、お兄ちゃんが大好きなブラコンだけど。
拓海くんは、ちがった意味でブラコンなんだ。
お互いを強く意識してるけど、気持ちが重なってないんだね。
「笑うか?」
「え?」
自嘲ぎみの笑みを浮かべて、拓海くんはあたしに聞いてきた。
あたしには弟はいない。
ちょっとおバカな兄しかいない。
大きすぎる弟の存在が、どんなものかはよくわからないけど……。
「笑わないよ」
はっきりと言いきったあたしを、拓海くんがじっと見てくる。
もしかして、疑ってるのかな?
「コンプレックスのない人なんて、きっといないもん」
「……ものにもよるだろ」
「もの? よくわかんないけど、笑うようなものじゃないと思うんだけどな。
……えーと、気を悪くしないでほしいんだけど。あたし少しほっとしちゃったよ」


