やっぱり人それぞれのコンプレックスは、笑うようなことじゃない。
いえ、あたしの場合はむしろ笑ってほしいんだけどね。
「そういえば、ハルちゃん来週誕生日だよね」
「えっ! なんで知ってるんですか? あ、お兄ちゃんか」
「なにか欲しいもの、あるかい?」
欲しいもの。
【頑丈な血管】
なんてむちゃかつ、ちっとも可愛くないことを言ってもしょうがない。
これがいちばんに思い浮かんだ自分がかわいそう。
「う~ん。特に思いつかないな~」
「なんでもいいよ。ジョニーズの写真集とか?」
「きゃー! そんなことまで話したんですか、うちのバカ兄!
忘れてください~。ってゆーか、久木先生からプレゼントなんて、いただけませんよ~」
今度ほんとにお兄ちゃんのこと、きっちり叱ってやらないとだめだな。
悪気はないのはわかってるけど、口が軽すぎるよ、もう。


