「いいえ。嫌われているのは昔からのことなんです。どうしてなのかは、わからないんですけど」
「そうなんだ……」
陸斗くんは、拓海くんのことが好きみたい。
嫌われてるけど、陸斗くんの目はお兄さんが恋しいって言ってる。
うう。
こんなかわいい顔でしゅんとされると、力になってあげたくなっちゃうよ。
だって陸斗くん、母性本能をくすぐる小動物みたいな愛らしさなんだもん。
「僕はちょっとブラコンで。兄さんのこと尊敬してるし、大好きなんです。かっこよくて、頭もよくて、運動神経もよくて、おしゃれで、おとなっぽくて、男らしくて……。
兄は僕の憧れなんです」
「そんなに好きなのに嫌われてるなんて、悲しいね……」
ああ、もうだめ!
放っておけないよお姉さんは!
あとで怒られようとも、なんでも話しちゃう。
「拓海くんは、きみがいま言った通りの人だからさ。学校でもそりゃあ人気者でね、いっつもたくさんの人に囲まれてるんだよ。
カリスマ性っていうのかなぁ。学校でいちばん有名な人なんだよね!」
「本当ですか?」
「うんうん。なんていうか、オーラが普通の人とはちがうよねぇ。大勢の中にいても、自然と目立っちゃうもん。
授業中に居眠りしてても、絵になるし。お弁当食べてても絵になるし。体育の指定ジャージ姿でも、キラッキラに輝いてるし。
当然モテてモテて、モテまくってるんだよ~」
ちょっと勢いよく喋りすぎたかな?
と心配したけど、陸斗くんはうれしそうに瞳をキラキラさせていた。
はー、どんな顔もかわゆいね!


