植え込みの向こうから顔を出したのは、拓海くんの弟だった。
なんで? のぞき見してたの、バレてたの!?
「ご、ごめんなさい! 悪気はなかったんです!」
「え? いえ、そうじゃなくって。あ、もしかしてちがいました?
そうですよね、兄さんの友だちにしては、ちょっと平凡顔すぎるし……」
なんか、このコ天使みたいなかわゆい顔して、すごいこと言ってない?
さらっと見事な毒吐いてない?
あたしの気のせいかな……。
「えーと、一応お兄さんの、知り合いだけど」
「え? あ、そうなんですか! ……兄は、学校ではどうですか?」
「……へ?」
あたしが首をかしげると、陸斗くんは照れくさそうに頭をかく。
うわあ、ほっぺた赤くして、ほんとかわいいなぁもう。
「ご覧になった通り僕、兄に嫌われてて。高校での生活とか、友だちのこととか、彼女のこととか、兄はまったく話してくれないんです。
だから兄のことをなにか知っていたら、教えてほしいなと思って」
「ケンカでも、してるの?」


