細身のパンツに紺のポロシャツっていう私服姿の、小柄な男のコ。
遠目だからはっきりとは言えないけど、中学生くらいじゃないのかな。
こんな平日の昼間に、なにやってるんだろ?
「あいつ……」
小首を傾げた時、拓海くんが低くそう呟いた。
つい顔を見そうになって、慌てて下を向く。
「拓海くん、知り合い?」
「……弟」
「えっ?」
拓海くんはあたしから離れて、教室を出ていってしまった。
なんだか、怒ってたみたい。
「行こう、ハル」
「は? 行くって紗知子、どこに?」
「ミスターを追いかけんのよ」
「な、なんで? お弁当、まだ途中……」
「いいから! ほら!」
紗知子に強引にひっぱられて、あたしも教室を出るハメになる。
せっかく拓海くんから離れられたのに、なぜあえて近づかなきゃならないの~!


