とぼとぼと、ホームを出ると
改札で待っていた親友の加藤紗知子が、ティッシュで鼻を抑えたあたしを見て、深~いため息をついた。
「おあよー、紗知子」
「おはよう。新学期早々やっちゃったの」
「うん。やっちゃった。ちょっとひたアクひデントがありまひて」
「今日の相手は? 他校の男子? それともサラリーマン?」
今日の相手とか言わないでほしい。
なんかいかがわしく聞こえるんですけどー。
「たぶん、大学生のお兄ひゃん。白いひャツを真っ赤に染めちゃって。あ、ちゃんとクリーニング代は渡ひてきたよ!」
「ああそう。ほんと、かわいそうに」
「だよねぇ。イケメンが大好きなのにイケメンをまともに直視できないなんて、かわいそすぎるよね、あらひ」


