「なに?」
「なんでおまえはそんなに、俺と離れて歩く?」
不機嫌オーラを放ちながら、拓海くんがゆっくり振り返る。
ひぃっ! こわい!
だってこれがあたしの限界なんですよぉ~!
これ以上近づくと、顔を見て話せなくなる。
そうなったらまた拓海くん、こっち見ろとか言いそうだし。
「えーと、ほら、あれですよ。佐渡くんがあたしみたいな超凡人と一緒に歩いてたら、迷惑なんじゃないかなーと思って」
「迷惑?」
「あたしなんかと噂になったら、困るでしょう?」
「別に。……あんたは困んの? 俺と噂になったら」
「困ります! めっさ困りますよ! だって佐渡くんですよっ?」


