久木先生の優しい声、どこか懐かしい響きがあるんだよね。
やっぱり運命?
「あの、久木先生って、彼女とかいるんですか……?」
「彼女?」
「い、いるに決まってますよね! そんなにイケメンなのにいないわけないですもんね! あは、バカですよねーあたし」
「いないけど?」
「ですよねー……って、えっ? いないんですか?」
「うん。なんだ、恋の悩みだったの?」
「いや、その、なんてゆーか」
うそー、いないの?
こんなイケメンを世の女子が放っておくわけないのに、いないの?
やっぱり運命としか思えないんですけど神さま!
久木先生はペンを器用にくるくる指で回しながら、あたしに微笑む。
あたしもペン回し得意だから、ちょっと親近感。


