「誰と? そこの男と?」
「そう、なりますね」
「あれ誰? 野宮と、どーゆー関係?」
チラっと久木先生を見て、拓海くんが黒い笑顔で聞いてくる。
えーんこわいよぉ!
「ハルちゃん。帰らないの?」
あたしがぶるぶる怯えていると、久木先生が入ってきてくれた。
王子様を超えて救世主ですね!
「いえ! 帰ります帰ります!」
わらにもすがる思いでつい、あたしは久木先生の腕に飛びついてしまった。
だって拓海くんがこわいんだもん。
おそるおそる振り返ると、拓海くんは胸の前で腕を組んで、じっとこっちを見ていた。
「へーえ。そーゆーこと」
「……そーゆーこと?」
「なるほどな。よくわかった。じゃーな、野宮。また明日」
「あ、うん。また明日……?」


