ずっと憧れていた人。 その彼の腕の中で、あたしは身をよじる。 「好きだ、野宮」 「拓海くん……だめっ」 「どうしようもなく、お前が好きなんだ」 「あ、拓海く……んっ」 いやいやと首を振ったのに、 いじわるな彼は強引にあたしの顔を上に向けさせて、深く唇を重ねてきた。 ゼロ距離から、彼の綺麗な顔を目にした瞬間、あたしは悟った。 なにもかも、終わった……と。