「………はぁ」

ここ数日

いつも以上にバイトのシフトがたくさんだったから体力限界

もう無理


昇降口で時計を見たときあと1分だったから

3階の教室はきつい

今日はアウトか……


諦めて呼吸を整えながら歩く

何も無理しなくったっていいんだもん



「遅刻するよ」


下駄箱で靴を履き替えるあたしの後ろから声

振り返ると男の子が立っていた


「走ればまだ間に合う」


その人はニコッと笑うとあたしの腕を掴んだ


「……ちょっ」


あたしの前を走るこの人

同じ下駄箱ってことは同じクラスの人なんだろうけど

なに?


2階を過ぎたあたりでチャイムがなり始める



「セーフ……」


バタバタと教室になだれ込むあたしたち


「……だよね?」

「「アウトー!!」」

「まじかよ~」


クラス中がわく

いちいちうるさい…


「手」

「え?」

「離して」

「あ……ごめんっ」


あたしが言うと慌ててパッと手を離す


「藤森 2日連続遅刻とはいい度胸だな」

「ごめんね センセー」


「知永は……仕方ないな」


その変な間とか

変な気遣い

やめてほしい